【事例紹介⑫】 橋梁点検車 現場レポートその2 (BT-400他)

前回の事例紹介では、弊社が所有しているBT-200を使った橋梁点検についてご紹介いたしました。今回は、違ったタイプの点検車を3種ご紹介いたします。
また、合わせて実施した、橋桁内部の点検についてもご紹介いたします。どうぞ、最後までご覧ください!

遮音壁・施設点検車(YZ30FC

画像 YZ30FC
今回は、歩道橋の点検です。
一般的に歩道橋は、歩行者や自転車の通行のために作られており、幅が狭いです。BT-200は最小でも2.4mの幅員が必要なため、今回のような幅が2mしかない歩道橋では使用できません。
そこで、使用したのがこの点検車です。

 

   YZ30FC 主要諸元
車両寸法
全長 5.1m
全幅 1.8m
全高 3.4m
積載荷重 200kg(または作業員2名)
最大地下深さ 3.6m
最大地上高さ 2.8m
最大作業半径
3.3m
架装対象車 2t 車クラス
操作資格
高所作業車運転特別教育修了者(10m未満)

 

この点検車は、本来は「遮音壁・施設点検車」です。
横幅1.8mというコンパクトさを生かし、歩道橋点検に応用しました。

ローラージャッキが装備され、BT-200同様に移動しながらの連続作業が可能です。
また、アウトリガーの張り出しがないため、車道占有幅も最小限で済みます。

コンパクトとはいえ、左右10cmずつの余裕しかありません。地覆(じふく)に当たらないよう、運転には十分な注意が必要です。

一般的に、桁下高が3~4m以上の場合は、点検車を使用します。場合によっては、梯子でも5m程度までは点検可能ですが、作業性が大幅に悪くなります。
点検対象の橋は、桁下高が約10mありますが、前述のとおり幅員が狭く、BT-200を使用することができません。そのため、通常はロープアクセスにより点検をする必要がありましたが、この点検車を応用できたことで、効率的に作業することができ、かつ、点検にかかる費用も抑えることができました。

橋梁点検車(BT-400

次は、桁下高が約40mもある橋梁の点検について、ご紹介いたします。

本日の点検現場は、茅野市です。

茅野市といえば、平昌五輪スピードスケート女子500メートルで金メダルを獲得した小平奈緒選手の出身地。
年末のこの日、近くの小学校では、校庭に水を張り、天然リンクを作っているところでした。

 

点検対象となる橋梁です。
・構造:3径間連続PCラーメン箱桁橋+4径間連続PC箱桁橋

・橋長:490.2m
・有効幅員:9.5m
・桁高:最大6.2m
・桁下高:約40m
・架設年:2002年

BT-400とBT-200の作業範囲

※クリックすると拡大します

この桁高の橋梁になると、BT-200での点検では限界があります。そこで、桁下および橋脚の点検は、BT-200に加え、BT-400、さらにゴンドラ車の、合計3種を使用する点検計画がたてられました。

・桁下:BT-400 およびBT-200で点検
・橋脚:BT-400 およびゴンドラ車で点検

それでは、まずBT-400での点検の様子をご覧ください。
(BT-400の仕様は、こちらのページからご確認ください。≫ 【事例紹介⑪】)

12月某日、現場で待機するBT-400
朝の気温は氷点下。うっすらと雪が積もっていました。

点検箇所に移動するBT-400

BT-400での点検日数は3日間。その間、片側交互通行の交通規制を実施します。
この日は、点検2日目です。

アウトリガーを張り出して、車体を安定させます。
BT-400のアウトリガーには、ローラーが2つずつ装備されています。
バスケットに乗り込む点検員2名と、オペレーター1名。
 ブームを器用に動かし、バスケットをフェンスの外側に出します。
第2ブーム、第3ブームを使用し、徐々にバスケットを降ろします。
点検車が位置についてから、アプローチ完了まで約20分。

 

上流側から撮影。
BT-400を使用し、桁下と、橋面から15m付近までの橋脚の点検を実施しました。
地上高35m超の桁下、点検員は手慣れた様子で作業を進めてきます。
八ヶ岳から風が吹きおろし、橋付近はとにかく寒い!
橋の向こうにうっすらと見えるのが八ヶ岳。
ちょうど橋の真ん中あたりで作業中です。

 

 

ゴンドラ車(GC-240

BT-400では、路面から15m付近までしか点検ができません。桁下高が40mもあるこの橋梁は、橋脚の点検にゴンドラ車を併用しました。

 

 

  GC-240 主要諸元
車両寸法
全長 11.5m
全幅 2.5m
全高 3.7m
積載荷重 240kg
最大地下深さ 64.5m
最大作業半径
14m
ゴンドラデッキ
昇降速度
7.0m/分
操作資格
高所作業車運転技能講習修了者(10m以上)
ゴンドラ取扱業務特別教育修了者

 

1月某日、この日の朝も氷点下。前夜降っていた雪も止み、日差しが出てきました。
風もなく、この天候であれば作業に差し支えありません。

「労働安全衛生法」では、次のような悪天候の場合(予想される場合も含めて)、ゴンドラを使用する作業を中止するよう定められています。
・強風:10分間の平均風速が毎秒10メートル以上
・大雨:1回の降雨量が50ミリメートル以上
・大雪:1回の降雪量が25センチメートル以上

ゴンドラのデッキに点検員を乗せ、ブームを動かします。
このとき、ゴンドラは4隅のフックで吊元と固定されています。
伸縮式の第1ブームでフェンスを乗り越え、第2ブームから第4ブームまでを使用し、点検箇所へアクセスします。
フェンスの向こう側、デッキ部分が降りて行きます。
桁下からみたところです。
位置が定まりました。
4隅のフックを外し、いよいよデッキ部分が降りていきます。

昇降は、電気モーターを使います。
バッテリーのフル充電で、50mを6往復昇降することが可能と言われています。万が一を考慮し、デッキには予備バッテリーを1台備えています。

BT-400ではアクセスできなかった、橋脚下部までアプローチすることができました。
左右それぞれ1本のワイヤーで吊るされたゴンドラデッキは、少し動くだけで前後に揺れます。
点検員は、デッキの中でお互いバランスをとりながら、作業を進めていました。

箱桁内の点検

今回点検対象となっている橋は、PC(プレストレストコンクリート)箱桁橋です。
桁側面、桁下は点検車を使用して点検を実施しますが、桁内部についても、ひび割れや滞水の有無等、点検を行わなければなりません。

 

上の画像で、黄色く塗られた部分が箱桁

 

語句説明

プレストレストコンクリート [Prestressed Concrete]
略してPCとも呼びます。Pre(プレ)前もって、stress(負荷)をかけるという意味から、直訳すると「あらかじめ応力を与えられたコンクリート」となります。PCの技術を用いることによって、コンクリートの最大の弱点(圧縮には強いが引張には弱い)を克服することができます。コンクリートに「プレストレス」をかけるには、「PC鋼材」と呼ばれる高強度の材料を使います。プレストレストコンクリートをつくるためには、PC鋼材を引っ張って(この作業を「緊張」といいます)、張力を与えた後にコンクリートと固定します。プレストレスの与え方には、プレテンション方式とポストテンション方式の2つがあります。

※箱桁
鋼板、またはコンクリートにより箱状にした桁。鋼板による場合はボックスガーダー[box girder]とも呼びます。

 

 

桁内部に入る点検孔です。普段は蓋で閉じられています。
酸素濃度を測定し、酸欠防止のため、送風機を使用して中に空気を送りこみながら作業を行います。
本業務は、「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者」の国家資格を所持している技術社員が担当し、作業を安全に行うための指揮・監督を行っています。

 

※ 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者
トンネルや下水道などの酸素欠乏・硫化水素中毒危険作業場所における作業で、作業者が酸素欠乏等の空気を吸入しないよう作業方法を決定し、労働者を指揮するとともに、作業を行う場所の空気中の酸素及び硫化水素の濃度測定、測定器具、換気装置、空気呼吸器等その他労働者が酸素欠乏症にかかることを防止するための器具または設備の点検等を行う現場の責任者です。
現在、当社には5名の酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者がいます。

下からのぞくとこのような感じ。

箱桁内部。ライトで照らしているため明るいですが、実際は、真っ暗。

この橋は比較的新しく、しかも点検孔の蓋がしっかりと閉じられていたこともあり、内部は予想以上に綺麗でした。
なかには、鳥やコウモリが棲みつき、死骸や排泄物が堆積していたり、ごくごく稀に、人が不法占有していることもあるそうです。

箱桁内の点検は、ヘッドライトと防塵マスクは必需品!

ライトの明かりを頼りに、歩きます。
この橋梁の箱桁内部は、高いところで5m、低いところでも2m程度の高さがあります。
橋桁の中にこんな空間があるなんて、驚きですよね!

この日は、発注元のご担当者の方も同行し、一緒に内部を確認していただきました。

橋脚との接続部分です。
橋脚や横桁との接続部は、このように縦1m前後の点検孔があり、通り抜けることができます。

 

雨水等を流すための排水管

橋脚付近に一部滞水がみられました。排水管の接続部分から漏水したものとみられます。
滞水は、コンクリートの劣化や、内部鉄筋の腐食の原因となります。早急な対策が必要です。


普段、見ることがない橋梁の内部を、ほんの一部ですがご紹介させていただきました。

以上、前回に引き続き、橋梁点検についてのレポートをお届けいたしました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。