【事例紹介⑪】橋梁点検車 現場レポートをお届けします!(BT-200編)

平成26年(2014年)に「定期点検に関する省令・告示」が公布され、全国の自治体では5年に1回の頻度で橋梁やトンネルの定期点検が実施されることとなりました。→詳しくは、こちらのページをごらんください
長野技研では、毎年、各自治体様からの委託を受け、橋梁定期点検や橋梁補修設計業務、さらに橋梁の長寿命化計画策定業務等、複数のインフラ保守関連業務に携わっております。
今回は、橋梁の点検・保守に欠かすことができない強力な助っ人“橋梁点検車”についてご紹介したいと思います。

弊社では、2016年に橋梁点検車「BT-200」を導入しました。導入以来、その機動性のメリットを活かし、日々大活躍をしています。
長野県内において、自社で橋梁点検車を所有しているコンサルタント会社は、かなり希なのではないでしょうか?

梁点検車とは?

橋梁点検車は、橋を点検するためのトラックです。正確に言うと、橋の下を点検することが可能なトラックです。橋の縁にトラックを止め、トラックに取り付けた腕のような部分(ブーム)を伸ばして、ブーム先の籠(形状によりプラットフォーム、バスケット、バケット等とよぶ)に人が乗り、橋の側面や裏側を点検します。
また、機種にもよりますが、効率よく作業を行うために、作業位置を変えずに低速走行ができる点も大きな特徴といえます。

弊社が主に利用する点検車は、次の2種類です。

   BT-200(弊社所有)  BT-400
点検状況画像
デッキ積載荷重 200kg 300kgまたは3名
最大地下深さ 5.4m 17.4m
最大地上高さ 7.0m 16.1m
最大作業半径
5.1m 11.4m
架装対象車 3.5t 車クラス 25t 車クラス
操作資格
高所作業者運転特別教育講習(10m未満) 高所作業者運転技能教育講習(10m以上)
走行資格
中型免許(中型8トン限定免許含む)以上
大型免許


2種類の点検車の作業範囲を図で示します。点検を行う橋梁の規模により、点検車を使い分けて作業を行います。

また、点検車の操作には、10m未満の場合は『特別講習』を、10m以上の場合は『技能講習』を修了していることが、労働安全衛生法により定められています。
当社では、全ての技術スタッフが橋梁点検車の操作資格を有しております。

← 高所作業者運転特別教育修了証

 

 

 

 

検現場に行ってみました!
場所は木曽郡上松町の県道沿いです。
木曽ひのきの里である上松町には、寝覚めの床、赤沢自然休養林といった観光スポットが有名ですが、近ごろは、相撲の御嶽海の出身地として全国的に知られるようになりました。
対象となるのは、昭和40年(1965年)完成の橋梁。
併用後50年以上経過し、橋台や床版等に損傷がみられるため、この度、補修設計を行うことになりました。
今回の点検は、補修設計にともなう詳細点検です。

橋を横から見るとこんな感じ。かなり年季が入っていることがわかります。

現地到着後、まずミーティングを行い、 作業内容と安全確認を行います。
本調査を取り仕切るのは、管理技術者のNさん。当社の女性技術者
です。

この日はあいにくの雨模様。足元が滑りやすいため、十分な注意が必要です。

点検車を使用するため、交通規制を行います。今回は全面通行止ですが、場合によっては片側交互通行や車線減少規制で作業を実施することもあります。

『交通規制を行うには、事前の手続きが必要です。まず地域住民の皆さまに回覧文書等で告知をし、地区の同意書をいただきます。そして、道路管理者(国、都道府県、市町村)、所轄の消防署、警察署等に申請書を提出し、道路使用および通行規制の許可を得ます。交通規制の看板は、作業日の2週間前までに設置しなくてはならないため、早めに手続きを始めることがポイントです。』(Nさん)

現場で待機するBT-200
点検車運転担当の技術部Kさんに、走行時の注意点について話を聞いてみます。

『BT-200自体、自重が約8トンあります。
一般的な2tトラックに荷物を満載した状態より重いです。当然、制動距離※は長くなります。現場までの移動(通常走行時)は、カーブ手前で十分な減速をする等、大変気を使います。』

※制動距離:ブレーキが効き始めてから、車が停止するまでの距離

さて、いよいよ出動開始です!
車両を動かし、橋の縁に一旦停車します。
運転者のKさん。
後部のレバーを操作し始めました。

車両の横から、脚のようなものが伸びてきました。

 

 

 

さらに、地面に向かってジャッキが下りてきました。

『これは、アウトリガーといって、車体横に張り出して接地させることで車体を安定させる装置です。
画像の矢印方向にかかるブームの荷重に対し、車と接地している地面の面積を増やすことで、作業車の重心が安定するわけですす。また、この点検車では、道路との接地部がローラーとなっているため、低速走行しながら効率良く連続作業を行うことができます。』

点検者3名が安全帯を装着し、バスケットにのりこみました。墜落防止のため、安全帯のフックをバスケットにかけます。
労働安全衛生法では、高所作業車で作業する場合、墜落防止措置として、安全帯を使用することが義務付けられています。

バスケット内の操作パネルを使用し、ブームを上げます。
注意深く位置を確認しながら操作する、点検者Oさん
これが操作パネルです。

バスケットが橋桁の外側にくるように、ブームを動かし、さらにバスケットを回転させます。
木の枝や橋桁などに当たらないよう、運転担当のKさんが誘導します。

位置が決まると、次はそのままバスケットを下ろします
バスケットが下がり、見えなくなりました。
バスケット内の様子
川下から撮影
橋脚、橋台、支承部の各構造について、腐食、亀裂、ゆるみ・脱落、破断、漏水、異常音、変形・欠損 等 細部にわたって調査を行います。

これは、打音検査をしているところです。

川上から撮影した画像。
BT-200は、バスケットのブームを約8mまで伸ばすことが出来る為、車両の向きを変えることなく、主桁の反対側まで点検することができました。

車両運転席に備え付けられてあるインターホン。
バスケット内との連絡に使用します。

『運転者は下の様子がわかりません。そのため、点検作業中に前進・後退する際は、インターホン等でバスケット内の点検者と頻繁にコミュニケーションをとりながら運転します。急な発進や停止は、バスケットが大きく揺れ、転落等の危険もあるため、慎重に行う必要があります。』

おまけの1枚・・・
今回、橋梁点検車に初めて乗ることができました!
ほんの数分間だけでしたが、念願を果たせすことができ大満足(≧∀≦)

橋梁点検車に乗ったのはもちろん、実際に動いているところを間近でみるのも初体験。隣で説明を聞きながら、「へぇ~」の連続でした。

また、今回の点検作業には現場責任者含め、弊社の女性社員2名が入っていたのですが、実際に現場で作業をしている姿をみたのも、実は初めてのことでした。
雨などもろともせず、てきぱきと指示を出し作業に当たる姿は、同性からみても惚れ惚れするほど。

男性の業界のイメージが強い土木の分野で、技術者として活躍している女性が身近にいることに、ちょっと誇らしい気持ちになった1日でもありました。

 

術者インタビュー! (本社技術部 北浦 優)

Q.作業中の走行で注意していることは?
作業走行時は路肩に注意する必要があります。
アウトリガーを張り出して走行するため、路肩の縁石(橋では地覆といいます)に当らないように運転する必要があります。

多くの橋は路面の排水を行うため中心が高く、外側が低くなるように勾配がつけられています。
ゆっくり走行すると、特に点検車のように重い車はまっすぐ走っているようでも徐々に外側に寄ってきます。(坂道を真横に走るのと同じです。)
都度、ミラーとサイドカメラ(当社の点検車には側方の確認ができるサイドカメラを搭載しています)を確認し、安全確認をする必要があります。

とはいえ、足元だけを注意しているわけにはいきません。作業時は安全のため道路使用の許可をとり、通行を規制して行うため、前後に一般の車が来ることはありませんが、(片側通行規制の場合は)反対車線の車など、周囲の状況にも気を配ります。

Q.作業中、転者と点検者がインターホン越しに連絡をとるということですが、何か工夫していることは?
前進・後退時にはインターホンを使い頻繁に連絡をとりあいながら運転します。例えば、バスケット内の点検者は「オーライ!」の発声の間隔を変えるなどして、残りの移動距離を運転者がわかりやすいように工夫しています。

Q.橋梁点検車のような高所作業車を使って安全な作業を行うため、他に気を配っていることは?
電線や標識、街路灯、樹木などの障害物は、位置によっては運転者からもバスケット内の点検者からも見えづらいことが多いです。そういったものに対しても注意しながら作業をする必要があります。
現場では点検作業の前に運転者と点検者、双方でその位置を確認し、双方が認識を共有した上で作業の計画を立てています。
どちらかが直接見えないところは、もう一方が確認し作業を進める等の工夫をして、安全に作業をしています。


以上、橋梁点検車 BT-200の現場レポートでした。現場の様子が伝わったでしょうか?
最後までご覧いただき、ありがとうございました。