SEELAND(R)説明
地下すべり面の形状と位置及びその規模は、地すべり対策工事の範囲や工法を決定するための最大の要素です。従来、すべり面はボーリング結果及び地すべりブロックの規模や地形の変状から経験に基づき推定されてきましたが、すべり面の推定を謝ると工事の規模や工法ばかりでなく工事の適否を問われることになりかねません。このため、すべり面のより正しい推定法の確立と、より早期の対策工事への取り組みが大きな課題となっています。
SEELAND(R)は、地すべり地の地表面諸点の移動ベクトルから地下に伏在するすべり面の深さや形状を推定するシステムです。
すべり面の推定には、移動ベクトルと地すべり境界点(滑落崖、隆起点、ボーリング点)の位置が必要です。
移動ベクトル:
地すべり地内の測点や地物の位置の時間差測量によって求めます。時間差は地すべりの移動速度に応じて半日~1年として、測量による計測誤差以上の移動量を検出することが必要です。
地すべり境界点:
地すべり地の頭部や側部に発生した滑落崖、脚部に発生した隆起部、およびボーリング調査で得られた地下すべり面の位置です。
こんなときにご利用下さい
- 地すべりが発生したが早期に規模を把握して対策を講じ、地すべりの拡大を防ぎたい
- 調査に多額の費用はかけられないがある程度は把握しておきたい
- 高価なボーリング調査を節約するために必要最小限の最適なボーリング地点を見極めたい
- 他の方法で推定したすべり面の検証をし、推定精度を上げたい
A.すべり面の二次元形状推定
投影断面図を用いてすべり面の断面形状を円弧もしくは多角形で推定します
- 時間差測量データ(2つ以上の時点の測量結果 ex.発生直後―1ヶ月後…)から、すべり面の断面形状を推定します。
- すべり面推定に必要なデータは測量データ(基本は三次元座標値 X,Y,Z)のみ!
- 地すべり地内の同一地表点(移動杭、抜き板、切株、地物等)の時間差測量データ
- 地すべり境界点(頭部滑落崖、脚部隆起点、ボーリングで得られたすべり面)の位置
- 座標データがなくても、時間差測量の投影断面図からでも推定が可能です
B.すべり面の三次元形状推定
すべり面の三次元形状を三角形要素の集合による多面体を用いて推定します
- 三次元すべり面の推定には大量の三次元測量データが必要となります
- 移動杭観測データ(三角形要素を作るための移動杭が多いほど推定精度が向上します)
- 境界点(頭部・側方滑落崖、脚部)の位置データ
- 時間差測量による地形データ(実測、点群、SIMA等)からでも推定が可能です
(地形測量データから同一の地物や地形特徴点等を確認できることが前提です)
宮澤 圭(2000):三次元時間差測量データを用いた地下すべり面の推定に関する研究,学位論文 信州大学, pp.A-1~A-6.
吉澤孝和(2005):図解 測量学要論,日本測量協会, pp.392-401.
宮澤 他(2012):地表変位データを用いた三次元すべり面形状の推定,地すべり, Vol.49 No.1, pp.22-35, 2012
※SEELAND(R)は吉澤孝和信州大学名誉教授、株式会社日さく、株式会社長野技研が共同開発したシステムです
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