2022年インターンシップレポート

2022年度のインターンシップが、8月後半に実施されました。今年度は、県内外から3名の学生の方がご参加くださいました。

建設コンサルタントの仕事は、測量、設計と多岐にわたります。弊社のインターンシップでは、建設コンサルタントの仕事をある程度理解していただくことを目的とし、実際にみて体験していただく実務訓練を主としております。
それでは、今回の実習内容についてご紹介させていただきます。(掲載には、ご本人の許可をいただいております。)


●期間:2022年8月22日~8月26日(5日間)
●場所:長野技研本社 他
●実習内容:
  1日目 オリエンテーション、ArcGIS実習、3D-CAD実習
  2日目 橋梁点検現場実習(木曽)
  3日目 点群測量研修(座学、実習)
  4日目 社内研修会参加(「伝える技術」「建設コンサルタントに必要なリテラシー」)
  5日目 3D-CAD実習、砂防施設実習(富士見方面)

ArcGIS実習

弊社ではArcGISによる、長野県インフラデータプラットフォームの構築、運営業務に携わっています。今回の実習では、ArcGIS Onlineを利用して ①調査票の作成 ②調査の投稿 ③情報分析 ④情報共有 ⑤情報活用 といった一連の流れを、実習を通して体験していただきました。実習では、問題なく操作を完遂し、全体像をご理解いただけたようです。

 

実習日誌より
・ArcGIS Onlineによってスマホアプリでアップした情報をマップで分析、編集できる仕組みを知った。災害時や平時の道路パトロールなど、幅広い状況で活用できると感じた。
・長野県は様々な災害が起こるので、ArcGISの活躍する場面が増えてきそうだと思った。
・このシステムはウェブ上で運用することで、どこからでもアクセスすることができる。このシステムがより高度化していくことで、早急な情報共有、作業の効率化が望める。
 

3D-CAD実習

3D-CADの実習は2回にわけて実施しました。初日にCivil3Dという3D-CADソフトの操作方法を学んでいただいたうえで、最終日には橋梁の3Dモデルを作成していただきました。
橋梁一般図や上部構造図、下部構造図等の2次元の図面や実物の写真を参考にしながら、3Dモデルを設計する・・・というかなり高度な課題へのチャレンジです。
皆さん3D-CADソフトを使うのは初めてという方ばかり!
完成させるのは難しいかと思っていましたが、テクスチャの貼り付けまで行うことができて大変良かったです。皆さん上手に使いこなして、こちらのほうが驚くほどでした。

こちらが作成した橋梁の3Dモデル

 

実習日誌より
・初めての作業が多く、とまどうことが多いながらも多くのことを学べた。最初はできないと思っていたが、ご指導により2Dの図面から橋梁の3Dモデルを作ることができた。
・3D-CADを使ったのは初めてだったのでとても苦労したが、普段できないような貴重な経験ができたので良かった。今回をきっかけにさらに自分で勉強していきたいと思った。
・2次元の図形を3次元データに変える作業を行った。その際には押し出しやスイープを用いることが分かった。橋梁を作成したが、勾配をつけるときに歩道と車道が組み合わさるように気を付けた。

橋梁点検現場実習

2日目は、弊社で補修設計を行った橋梁の施工現場に行き、各橋梁の構造形式や補修内容、劣化しやすい箇所などについて現地視察を行いました。
また、橋梁点検を行っている現場では、橋梁点検車に乗車し橋桁や床版の点検を体験いただきました。

床版の点検を実際に体験していただきました

 

実習日誌より
・木曽地域の補修された橋梁を見学したが、水の処理に注力していることを知った。また橋梁点検車に乗って、橋桁や床版の点検をした。良い経験になった。
・学校はコンクリートの実物を見て学ぶ機会が無いためイメージが湧かなかったが、現場で実物を見て「コンクリート橋はこのように補修されているんだ」ということを知ることができ、貴重な経験ができた。
・橋梁の点検では、雨水などの侵入による劣化を見ることが重要であることを知った。現場での点検が設計する上でも重要な知識に繋がることが分かった。

点群測量研修

3日目は、レーザースキャナとドローンを用いて実際に点群測量、写真測量を行いました。
また、得られた点群データと画像データを組み合わせ、地形モデルを作成していただきました。

 

実習日誌より
・ドローンを使った写真測量はレーザー測量よりも早く終わるが、草などで地表の情報が取れない場合があり、使い分けることが重要だと感じた。
・点群測量もレーザー測量も学校で学んだことが無かったので貴重な経験ができた。

社内講習会参加

4日目は、社内講習会に社員とともに参加いただきました。
午前:「伝える技術」-良いデザインのために、読む技術・書く技術- 講師:藤井亜子氏(デザイナー、中小企業診断士)
午後:「建設コンサルタントに必要なリテラシー」 講師:久保田努氏

実習日誌より
・午前の講義では、人に伝えるためのデザインと文の書き方、経営における強みと機会を学んだ。対象の時間や場所、人、目的によって良いデザインの正解は異なることを学んだ。
・デザインにおいて「観察する」「想像する」「手を動かす」この3つが得に大切なことなのだということを学んだ。
・午後の講義を聞いて、就職するにあたり専門的な知識も重要だが、社会人として必要なものを身に着けたいと感じた。
・EXCELの使い方の幅広さを学んだ。

砂防施設実習

最終日は、富士見町、岡谷市方面の砂防ダム、地すべり災害の復旧現場を見学していただきました。
砂防施設に関しては、学校では教わることはあまりないと思われますが、土木構造物を造るには、面白い材料や工法がいろいろあります。また、長野県内で土木業界に関わっていくということは、否が応でも土砂災害と付き合っていくことになります。砂防・地すべりにも興味を持っていただけたらと思います。

富士見町 砂防ダムの見学風景

岡谷市 地すべり災害地の復旧現場を見学

 

実習日誌より
・建設コンサルタントとしての災害への考え方など、勉強になる話を聞けた。
・土石流堆積工には残存型枠工法という方法が用いられていることを教わった。このような工法を初めて知ったので非常に良い勉強になった。
・岡谷小学校跡地の見学では、地すべり対策として、急傾斜面を段切りしてあったり、排水対策がなされていた。

 

5日間という短い期間ではありましたが、今回の弊社での経験が今後の進路に少しでもお役に立つことが出来たら大変嬉しいです。
ご参加いただき、ありがとうございました。